no.010
メナシェ・カディシュマン
Menashe Kadishman
size
2935x15000x12㎜
material
steel, lighting equipment
ペデストリアン側壁 pedestrian deck wall
自然は微笑まず、人は微笑む
Nature does not smile ; people do
彼は主として鉄板を使った立体をつくりますが、それ以外の仕事のなかにも羊がよく出てきます。羊は人間の悲劇とともに歩んできた彼の友達なのです。彼はユダヤ人でアラブとイスラエルの戦争の悲劇をテーマにしていることも多いのですが、そこには自分の出身や民族の範囲をこえた人間の悲しさが出ています。彼の仕事からは鉄が柔らかな素材だということが伝わってきます。
メナシェ・カディシュマン/イスラエル
Menashe Kadishman/israel
1932 - 2015
1932年イスラエルのテルアビブに生まれ、59-71年ロンドンで過ごす。50年代アンソニー・カロのもとで素材と形態の意表をついた美しい組み合わせに触れ、ミニマリズム的な素材の扱いと新構成主義的な作風により、68年ドクメンタ4へ出品、次第に彫刻家としての評価が高まる。72年故郷イスラエルへ帰還。ミニマリズム的傾向の仕事に行き詰まりを感じ、78年ヴェネチア・ビエンナーレのイスラエル・パビリオンで、生きた羊の群れの中に物語的に自分自身を置く展示をすることを契機に、古代の神話などの物語を引用した絵画的な要素を持つ作風へと変化していく。常に戦争の絶えないイスラエルという地で、個人の経験と記憶をもとに人間が社会の中で築き上げて行く神話を作り続けている。2015年5月8日逝去。